居合道コラム
むかし、むかしのお話し
ある日、将軍徳川家光に朝鮮から珍しい大きなトラが献上されましたが、家光は将軍家武芸指南番で天下無双の剣の達人、柳生但馬守矩を虎の檻に入れてみろと、酔狂なことを言いだした
ところが柳生宗矩も大したもので、「承知いたしまいた」と、虎の檻の中に入り、木刀を構えて虎に迫った。
しばらくにらみ合いが続いたが、ついに、虎は宗矩の威厳に屈して視線をそらす。宗矩は静かに後退し、すばやく檻の外に出た。出たときの宗矩は、さすがに冷や汗びしょりだったという
ところが家光の酔狂には限度というものがない。今度は同席していた沢庵和尚に向かい、「どうじゃ、和尚もやってみないか」と言う。和尚はこともあろうに、「お望みとあらば」と、素手で虎の檻に入ったところ、虎は猫のように目を細め、喉を鳴らして甘えたと言うのである
関連記事